デュポン・MCC株式会社
2020.06.15
シンプルさと大胆さのコントラストが印象的なI INの空間デザイン。2019年に手がけた仕事の中には、海に臨むマンションの1室を大胆にリノベーションした事例もあります。今回は、最近のお仕事のこと、これからの展望についてもお話をお聞きしました。
「神奈川県逗子市にあるオーシャンフロントのマンションなのですが、いくつかの部屋に区切られていた間取りをワンルームに変更して、窓の外に広がる海の眺めをどこからでも愉しむことができる住空間にしました。必要に応じて、可動式パーティションで空間を分けることもできます」と照井さん。室内は木の質感を活かした空間ですが、キッチン&ダイニングエリアは、床、壁、家具などがすべて黒で統一されています。可動式パーティションを閉めると黒い通路ができて、部屋の入り口から眺めると、黒い通路のその先に、明るいリビングと眩しい海の景色が広がるというドラマチックな仕掛けになっています。素材や色の切り替えでコントラストを作り、この部屋の魅力である眺望を際立たせているのです。「このプランを完璧に実現するためには、キッチンもワークトップまで黒で統一する必要がありました。そこで、今回はコーリアン®ディープエスプレッソを採用しました」。
「オーナーが僕たちのデザインのテイストをよく理解してくださっていたので、最後までブレることなくアイデアを形にすることができました」と照井さん。誰もが必要とする情報を入手しやすくなり、自分の好みに合うものを見つけやすい時代になった一方で、選ばれる商品やデザインが画一的になっている気配も感じるというお二人。「ユーザーが、既にあるものの中から好みに合うものを選ぶようになり、空間デザインや建築の世界でもAIがさまざまな場面で取り入れられるようになると、近いうちに、それなりの空間であればデザイナーなしでも作れるようになるのではないでしょうか」と照井さん。「誰でも考えられることの価値がどんどん下がっていって、逆に誰かにしか考えられないことの価値が上がっていきますよね。だからこそ、デザイナーの提案力が、いま以上に大事になってくると考えています。見た人の印象に残るもの、長く飽きのこない味わいのあるものをつくっていきたいですね」と湯山さん。
最後に、これからコーリアン®に求めることをお二人にうかがいました。「コーリアン®はこれまでにもよく使ってきましたが、いろいろな特性をもっと深く理解することで、新しい表現につながるかもしれません。たとえば、どのくらい曲げることができるのか、数値では分かっていても、曲げている様子を実際に見たことがないので、金属のように曲がるのか、それともアクリルのように曲がるのかは、わかりません。そういうことを、感覚的に理解できると、アイデアの引っかかりにコーリアン®がでてくることが増えるかもしれませんね」と照井さん。「光を透すという特性には、実はいままであまり着目していなかったのですが、今回あらためて考えてみて、加工性の高さと組み合わせることで、何かこれまでにないものができるかもしれないと思いました。塊の中から段々拡散していく光とか、逆に消えていく光とか。すごく薄く加工して、障子のように使ったりしても面白いかもしれませんね」と湯山さん。これからのお二人の活躍の中で、コーリアン®を使った新しい表現が生まれそうな、そんな期待の膨らむお話を聞くことができました。