PHOTO:YOSHIHITO IMAEDA
デュポン・MCC株式会社
2023.4.3
PHOTO:YOSHIHITO IMAEDA
大分市の中心から南へ10分ほど車を走らせると、古国府バイパス沿いに天然石張りの大きな石窯の塔がシンボルとなった建物が見えてくる。ここは「石窯パンの店 シェルブール」。1980年に創業した大分市では誰もが知る老舗のパン屋さんだ。2022年10月に前オーナーから松本麻衣子氏が事業継承し、リニューアルオープン。外観も店内も洗練されたイメージに生まれ変わった。
店内はパリの古き良きブーランジェリーのようなインテリアで、吹き抜けを渡る黒い木梁やクラシックな柄のアクセントクロスが、時を経て味わいを増した石窯の壁と調和してレトロな雰囲気を醸し出している。そんな空間にしっくりと溶け込んで存在感を放つのが、やわらかな曲線を描く全長8mのカウンターだ。アンティークなペンダントライトに照らされて、2段の陳列カウンターに焼き立てのパンが美味しそうに並んでいる。このカウンタートップに採用されたのが、
「以前は動線が良くなかったために、混雑するとご来店のお客様とお帰りになるお客様でごった返しの状態になり、スタッフも思うように動けませんでした。リニューアルで入口と出口を別にして一方通行の動線にしましたので、お客様は陳列カウンターのカーブに沿ってパンをご覧になりながら進み、スムーズにお買い物をしていただけますし、スタッフが効率よく商品を補充できる裏動線も確保できました」と松本氏は微笑む。
店舗デザインを手掛けたのは、松本氏の学生時代からの友人でもある一級建築士の奥村亜紀子氏。カウンタートップに
「バターロールやクロワッサンなどバターをふんだんに使ったパンも多いので、簡単なお手入れで衛生的に使用できる素材を使う必要がありました。その点、
一見、厚みのある一枚板に見えるカウンタートップは、12mm厚の板材に前垂れを張り合わせたもの。シームレス接着で継ぎ目がほとんど見えず、まるで一体成形したかのような自然な仕上がりだ。素材はもちろん、継ぎ目にも汚れが入り込みにくいので、常に清潔に保つことができる。
「焼き立てをすぐに並べられるのもありがたいですね。袋詰の場合は蒸気で袋が曇らないよう、パンを少し冷まさないといけないのですが、
大通りに面したテラス席はまるでパリの街角のカフェのよう。深く張り出したオーニングの下、コーヒーを飲みながら焼き立てパンを美味しそうに頬張る人々で賑わっている。
【CHERBOURG bread シェルブール】
●所在地/大分県大分市古国府4丁目1−1
●デザイン・設計/奥村建築設計事務所
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●使用色/ヘーゼルナッツⅡ