

PHOTO:ディヴスタイルデザイン 森井裕也
2022年5月にリニューアルオープンしたエグゼクティブフロア客室「テラススイート ビューバス」の内観。勾配天井を有する広々とした客室空間全体を落ち着いた色調でまとめた。
デュポン・MCC株式会社
2022.9.30
PHOTO:ディヴスタイルデザイン 森井裕也
2022年5月にリニューアルオープンしたエグゼクティブフロア客室「テラススイート ビューバス」の内観。勾配天井を有する広々とした客室空間全体を落ち着いた色調でまとめた。
瀬戸内海に浮かぶ小豆島のリゾート施設「オリビアン小豆島 夕陽ヶ丘ホテル」は、2022年5月に「エグゼクティブフロア」をリニューアルオープンした。同フロアには、約100㎡の「テラススイート ビューバス」と「テラススイート ビューバス コネクト」の2タイプの部屋が各1部屋ずつ用意されている。
テラススイート ビューバスタイプの部屋は、明るい木材を基調とした室内で、テレビ下まで伸びる造り付けの長いカウンターテーブルが印象的だ。このカウンターは、宿泊客が簡単な調理を行えるように、小型シンクを備えたミニキッチン機能も合わせ持つ。最高で天井高4mに達する勾配天井とも相まって、広々とした贅沢な空間だ。
この空間デザインのアクセントになっているのが、長いカウンターを設けた壁の意匠だ。木質仕上げ面材を壁の躯体から浮かせて縦張りにし、薄型テレビを収納した。また、壁には小窓のような飾り棚もあり、地元の名産品が目を楽しませてくれる。
ホテル所有者で運営も担うカサイホールディングス(東京・港)において、デザイン検討に加わったディベロップメント事業部の田上ゆか氏は、次のように話す。
「広い部屋にゆったりとした長いカウンターがあると、ホテル空間として面白いですよね。明るい色味で木目がはっきりした木材で壁面を仕上げましたので、カウンター全体を引き締める意味で、天板には黒っぽいカラーの
ミニキッチンのテーブル天板には流れ模様の「ウェザードアグリゲート」を採用、空間全体のデザインを引き締めている。
設計・施工を担当した清水建設の山田邦夫 商業・宿泊施設設計部設計長は、「テレビ下のカウンターは、設計当初から
カウンターに使用された
こうした一連のデザインは、笠井寛・同社社長のブランドコンセプトに基づくものだ。笠井社長は小豆島で生まれ育ち、21年にこのホテルの運営を引継いで、現在は自らホテル総支配人を務めている。
笠井社長は、「東京・港区と瀬戸内・小豆島、素晴らしい魅力とワクワクするような可能性を持ったこの二つの街の懸け橋づくりこそ、私のライフワーク。ホテルが位置する小豆島北部は良い意味で何もなく、自然の美しさに満ちている。瀬戸内に沈む夕日を望めるこのホテルで、お客さまにゆったり過ごしていただきたい。デザインにもそんな想いを込めました」と語る。
テラス越しの眺望を楽しめるビューバス横の洗面台。天板は室内と同じ色柄を採用し、統一感を出した。
同フロアにある2タイプの客室の、テラス部分に元々あった窓サッシを撤去、外壁をセットバックして、潮風を感じながら夕日が眺められる半屋外の優美で開放的なテラススペースとなった。また、眺望を最優先するため、美しい景色を遮らないように外部手すりの素材をガラスへ変更した。
今回の改修にあたって、ロビーには薪をくべられる本格的な暖炉を導入し、レストランもリニューアルされた。ホテルの敷地面積は全体で20万㎡と広大であり、同社は今後も知恵と時間をかけて小豆島の豊かな自然と人との融合をより体感できるリゾート施設を目指している。
【オリビアン小豆島 夕陽ヶ丘ホテル リブランド「エグゼクティブフロア」】
https://olivean.com/
●設計・施工/清水建設株式会社
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●使用色/ウェザードアグリゲート