一体加工で素材感生かした半円状の受付カウンター オフィスリニューアルに伴うエントランス新設工事

2022.7.12

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PHOTO:YOSHIHITO IMAEDA

リニューアル後のエントランスの内観。シームレスジョイントしたコーリアン®で幅約4mのカウンターを構築、光り輝く空間を演出した。

 半円状の受付カウンターが来訪者を出迎える。受け付けの人員2人が収まってちょうど良いサイズのこのカウンターは、空間全体の光を反射し、特徴的な透明感をまとう。
このカウンターの表層はすべて、シームレスジョイントしたコーリアン®。カウンターは平面図で見るとほぼ半円で、幅は約4mだ。床からの立ち上がり、カウンター内部の机との取り合いなどにそれぞれ角度を設け、また各部にアール加工を施したことで、来訪者に柔和な印象を与えている。
 カウンターのコーリアン®部分と床との間に大きめのクリアランスを設け、床も含めて間接照明を施すことによって、カウンター全体の浮遊感を演出した。

カウンターを上面から見下ろした様子。アール加工した正面側と連続する形で、内側に机を設けている。目地のない一体感と相まって、シームレスジョイントによる造形の面白さを感じさせる。

 このカウンターを含むエントランスのインテリアデザインを担当したのは、ワークプレイスコンサルティング、ワークプレイスデザイン、プロジェクトマネジメントなどを手がけるミダス(東京・渋谷)。プロジェクトの統括設計者である岩瀬雅路氏は、このデザインコンセプトについて次のように語る。
 「目指したのは、クライアントのブランドイメージを端的に現し、ミニマル(最小限)に要素をそぎ落とした、シンプルなデザインです。同じ形状をつくるにしても、目地の有無で印象は大きく変わる。今回は特に継ぎ目のないソリッドさが欲しかった」
 カウンターのデザインは社内デザイナーが担当。クライアントへの最終プレゼンに向けGOサインを出した岩瀬氏は、「狙い通りのデザイン。正面のすぼまりをどの程度傾けるかなどは個人のセンスが出るところですが、よくまとまっていると思う」。デザインの前提として「継ぎ目が出ないといえばコーリアン®のシームレスジョイント。着手時点から材料はすでにコーリアン®で決まっていました」と振り返る。
 半円状のカウンターに合わせ、真上に当たる天井面も円をモチーフとしたデザインとし、照明器具を放射状に配置したことも、カウンターの存在感をより高めている。エントランス空間全体では色調をホワイトで統一、空間全体を明るく仕上げた。「空間の照度、カウンター下端の間接照明も含め、『光の演出』もこのデザインのテーマ」だった。

カウンターを背面方向から見た様子。来訪者から見て背面となる端部を切り落とした形状だが、側板との取り合いにもアール加工を施し、造形物としての一体感を出した。

 コロナ禍により、企業オフィスは激変の真っ最中だ。在宅勤務などリモートワーク化が進み、働き方が変化、週休3日制を採用する企業も出ている。企業はオフィスの存在価値を再定義し、オフィス空間全体を縮小するケースも増えてきた。
 そうした中、「各企業がオフィス機能の何を残して、何を減らすべきか、試行錯誤が続いている」と岩瀬氏は指摘する。出社率の低下に伴いオフィス面積を減らすにせよ、オフィス機能の再定義をベースに改修や移転のニーズは高まっているという。
 オフィス機能の重要な1つには、社外の関係者を迎え入れ、打ち合わせや会議でコミュニケーションを図ることがある。エントランスはそうした来訪者に対し、“企業の顔”となるだけに、オフィス見直しにおいて意匠デザインの腕の見せ所となっている。岩瀬氏は「コーリアン®は加工が自在で、造形の面白さやダイナミックな意匠性を表現できます。耐久性が高く、メンテナンスも容易で、環境にやさしい素材でもあります。受付カウンターの意匠など、今後も活躍の場があるのではないでしょうか」と見る。

●設計・監理/株式会社ミダス
 https://midasjapan.com/english
●施工/株式会社カミヒサ
●使用色/グレイシアホワイト