上質な輝きと繊細な加工で愛らしい商品を引き立てる サブレミシェル 大丸東京店

2022.4.28

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PHOTO:YOSHIHITO IMAEDA

モールディングで装飾されたクラシック家具のようなデザインと鮮やかなブルーが印象的な店舗什器。壁際には、旅情をそそる世界各国の美しい風景が描かれたパッケージ缶が並んでいる。

東京の玄関口にふさわしい店舗に

 ビジネスマンや旅行者、買い物客が行き交う東京駅八重洲口。日本橋方面からJR八重洲北口改札に向かう通路の入口にもなっている「大丸東京店」1階の角地に、麻布十番で人気のサブレ専門店「サブレミシェル」がある。
 ガラス越しにも目をひく鮮やかなブルーを基調とした店内には、世界中の美しいモチーフを象った愛らしいサブレが賑やかに並んでいる。中でも、ショートケーキのような形をした「ケーキサブレ」や、15の国と都市を表現したパッケージ缶にその土地にちなんださまざまな形のサブレを詰めた「ヴォヤージュサブレ」が人気だ。
 色とりどりの商品を陳列している壁面什器の棚板とショーケースの底板、アイランド什器のトップにはコーリアン®リバーパールが採用された。
「今回、コーリアン®を選んだ理由は、質感と耐久性でした」と話してくださったのは、店舗デザインを手がけたグローブスタジオの輿水 司氏。「クライアントからは、東京の玄関口に直結し、数ある百貨店の中でも最も人が集まる場所にふさわしい店舗にしてほしいとのご要望がありました。そこで、お客様が商品を選び、手に取る瞬間の背景となる什器のトップには、表面的な装飾ではなく、木や石のように無垢な素材を使用したいと考えました。トップの素材選びは、商品の印象にも大きく影響するため一番大事にしたいところです」。
 また、東京駅直結という場所柄、スーツケースやアタッシュケースを持って入店する人も多いため、什器の素材には特に耐久性が求められた。そこで選ばれたのが、コーリアン®だった。

厚みのある小口は、コーリアン®のシートを積層して、繊細なカットを施している。すべての角は手で触れて心地よい丸みがつけられている。「均質なソリッド材だから、カットの仕方で違う表情が生まれ、積層して削り出すこともできる。私にとって、コーリアン®という素材は上質なバターのようなイメージです」と輿水氏。

幅広い可能性を秘めた唯一無二の素材

「トップは白にしましょうというお話はしていましたが、白という色は人によって捉え方が異なります。そこで、コーリアン®のカラーラインナップの中から白系をいくつかピックアップしてサンプルを用意し、実際に触って、自然光の下で確認してほしいとお願いしました。店舗のデザインについてはある程度お任せいただいていたのですが、素材選びについては、商品を置いたときの印象なども含めて、実物を見ていただくことが重要だと考えています」と輿水氏。
 選ばれたリバーパールは上質な輝きを湛えた奥行きのある白。ブランドのコンセプトに寄り添った欧州スタイルの什器デザインともよく合っている。
 小口の加工も特徴的で、アールヌーボーを思わせる柔らかな曲線は、工芸品のような仕上がりだ。
 「イタリアなど、伝統的な技術が継承されているところでは、天然石でもこうした加工が多用されていますが、日本の店舗でこうした表現を叶えるには、コーリアン®の加工性の高さが欠かせません。素材のポテンシャルとしては、もっと複雑な表現でもできそうですね」。

ショーケースは、コーリアン®のカウンタートップの上にガラスケースを載せたようなデザイン。底板がガラスケースの外まで延びて、荷物を仮置きできる形になっているので、手荷物の多い旅行者やビジネスマンでも買い物がしやすい。

 シートの状態では無機的な印象のコーリアン®が、加工によって有機的に変わるところも魅力のひとつだと言う。
「ほかにも、独特の質感であったり、人肌に馴染む温度感、木や石のように加工を施せば職人の手肌感も残るところなど、ほかの素材では伝えることができない表現を可能にする素材です。リペアをしながら長く使うこともできますから、アンティークやヴィンテージの家具のように、作ったものを後世に残すこともできる。建材という枠に収まらず、幅広い用途に活用できるのではないでしょうか」と、コーリアン®の可能性についても語ってくださった。

【サブレミシェル 大丸東京店】
●発注者/株式会社ガトーミシェル
●デザイン監修/株式会社グローブスタジオ
●使用色/リバーパール