大自然に抱かれた上質な佇まい
グリーンパーク大山ゴルフ倶楽部

2025.7.18

Share on

木と石とコーリアン®が調和する、温かみと格式を兼ね備えたフロント。正面に掲げられたクラブ名のサインが上品なアクセントとなっている。

既存のロビーに溶け込む新しい受付カウンター

　中国地方屈指のリゾート地・鳥取県の大山。その雄大な自然の麓に広がる「グリーンパーク大山ゴルフ倶楽部」は、1990年のオープン以来、多くのプレーヤーに親しまれている本格派のゴルフコースだ。秀峰大山と美保湾、遠く日本海を一望できる景勝地で、自然の赤松林を縫うように各ホールが展開する。
　2024年、ゲストを迎えるクラブハウスの受付カウンターが改装された。以前の受付カウンターは木製だったが、経年変化による色あせや小傷が見られるようになっていたため、天板にコーリアン®を採用して刷新された。設計デザインを手がけたのは、米子市を拠点に活動する空間デザイン事務所、株式会社ベリーの久城誠之氏。「建物全体の空気感を損なうことなく、既存のロビー空間に溶け込むようなデザインを心がけました」と語る。

間接照明がやわらかな陰影を生み、訪れるゲストをやさしく迎える。しっとりとした質感を持つコーリアン®のカウンターに映り込んだ光の表情も美しい。

大山を一望できる大開口の窓から自然光が差し込む吹き抜けのロビー。そこに新しい受付カウンターが溶け込み、歴史あるクラブハウスの“顔”として美しい存在感を放っている。

　クラブハウスに足を踏み入れると、吹き抜けの開放感あふれるロビー空間が広がる。壁一面の大きな窓から見える雄大な大山の景色が絵のように美しく、訪れたプレイヤーたちに非日常の感動を与えている。館内全体には年月を重ねた趣があり、新たな受付カウンターはモダンな美しさと機能性を備えながらも、こうした建物の重厚な味わいと調和している。
「クラブハウス全体が持っているクラシックな雰囲気を活かしながら、清潔感のある受付カウンターにしたいと考えました」と久城氏。壁面にはナラ材の突板を用いて、周囲の素材や色調との調和を図りつつ、木の温もりを醸し出している。また、カウンター下部は石積み風の擬石タイルで仕上げ、全体を引き締める視覚的な重さを与えるとともに、大山の地にふさわしい自然の風合いを演出している。

ミネラル感のあるダークカラーの天板

天板に採用されたのは、深みがあるブラウンのコーリアン®「カームダークブラウン」。悠久の時が刻んだ大地の模様を思わせる流れ柄には、自然の持つ力強さと優美さが同居する。ミネラル感のある落ち着いたダークトーンは、木材や擬石などの素材とも相性がよく、空間全体を引き締めるアクセントとなっている。
「照明の当たり方や時間帯による見え方の変化、来訪者の視線の角度まで想定しながら検討し、最終的にこの色柄に決定しました。濃い色味ですが、模様のニュアンスが柔らかく、単なる“黒”にはならない。その曖昧さがかえって自然素材とのなじみを良くしてくれたと感じています」と久城氏。
　また、コーリアン®は機能面でも、滑らかな手触りと高い耐久性を兼ね備えた素材として、日常的に人の手が触れるカウンターに最適だという。「木材と比べて劣化や欠けの心配が少なく、意匠性と機能性のバランスが取れている点も魅力でした」と久城氏は語る。
　受付の背面には新たにロゴサインが設置され、そこから放たれる間接照明の光が天板にやわらかな陰影を落とす。光のグラデーションが加わることで、コーリアン®の質感が一層引き立ち、カウンター全体に奥行きと温かみが生まれている。大開口の窓から自然光が差し込む吹き抜けのロビーには、クラブハウスの歴史を物語る大柱が並び、往年の風格を今に伝えている。そうした古き良き意匠が息づく空間にあって、リニューアルされた受付カウンターは決して主張しすぎることなく、それでいて確かな存在感を放っている。これからも上質なホスピタリティと安心感を届けるフロントとして、訪れるプレイヤーたちを温かく迎え続けていくことだろう。

(文：菱沼晶)