デュポン・MCC株式会社
2022.9.30
ドアを開いた瞬間、真っ先に目に飛び込んでくるのは広い空間の中に美しい曲線を描くモダンで重厚感のあるキッチン、そして鮮やかなパープルチェアとスタイリッシュな照明だ。思わず息を呑むほど贅沢な空間である。
施主であるO氏から設計依頼を受けた神戸今井商店の今井智仁氏はコーリアン®を知り尽くし、数多くのキッチンを手掛けてきた家具デザイナーだ。今回のデザインについてお話をうかがった。
「日常使いに必要な機能面はもちろんのこと、ホームパーティーを行ったり、また、キッチン・リビングを見学に来る方も想定されていたので、それら全ての条件を備えたキッチンを一つの造形美として演出したいと考えました」。
訪れる人の誰もが羨む景観が目の前に広がる窓に向かって設置されたキッチンは、長さ約2800mm、幅は約780mmで、S字型に窓方向に滑らかにカーブを描いている。ワークトップの一部にはカーブに沿う形で、ダークな色調のカウンターテーブルが設置された。ワークトップと側板には、ホワイト系の中でも上品な柄が入ったコーリアン®「シラスホワイト」が選ばれた。工場で分割した状態で成型してから搬入、現場でシームレスジョイントを行った。使用したコーリアン®は10枚以上になるが、完成後はどこで分割されていたか全くわからない仕上がりになった。また、側板は床に向かってテーパー状に加工されており、カウンターテーブルの下に埋め込まれた間接照明が柔らかく、そして優しく光る。時間帯によって、違う顔を見せるキッチンはどの角度から見ても美しく見えるように、隅々まで計算しつくされている。
キッチン周りには、ワインセラーや食器収納用のキャビネットを壁一面に設置した。その扉の表面には、周辺の地図を模したオリジナリティーあふれるデザインが施された。広々としたカウンターの上に飾られている大きなグリーンの間から落ちる照明の光と、洗練されたキャビネットが調和し、エレガントな空間となっている。完成後の使用感について施主のO氏はこう語る。
「L字型のアイランドキッチンはよく見かけるので、提案のあったS字型のデザインに決めましたが、図面上で見ていた段階では動線を予想できませんでしたね。でも、完成してみると立ち位置を殆ど変えずに調理出来るなど、とても効率的で使いやすくて大変満足しています。シンクは一般的な四角ではなく個性的なデザインですが、おしゃれに見えるだけでなく、深さが十分にあるので実用面にも優れています。また、ホームパーティ-用にキッチン天板を部分的に外して使用するワインクーラーが備えられていたり、簡単に食事を取れるように設置されたカウンターテーブルもとても便利で、独特なデザインでありながら、かつ合理的なキッチンが出来上がりました。」
コーリアン®をよくご存知のO氏は、加工性が良く、耐久性やメンテナンス性にも優れるコーリアン®の特性を最大限に生かし、クリエイティブな意匠を実現したキッチンになったと、語ってくださった。
リビングの一角を占めるコーリアン®のワークトップには、春になると桜を飾るなど四季折々の変化に合わせてインテリアとして楽しんでいるという。使うだけでなく、愛でることでも日々の暮らしを豊かにしてくれるキッチン。これからどんな新しい表情を見せてくれるのだろうか。
【O氏邸】
●キッチンデザイン・設計・施工/神戸 今井商店
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●使用色/シラスホワイト
※2022年よりシラスホワイトⅡへ変更になりました。施工事例に使われたシラスホワイトとシラスホワイトⅡは色や柄の表情が異なります。