
デュポン・MCC株式会社
2025.02.07
大理石と聞くと、多くの場合は高級な建材という印象を持つと思います。しかし、大理石の中にも天然の大理石や人工で作られた大理石、類似する天然石や人造石など様々な種類があり、種類ごとに特徴も大きく異なっています。本記事では、そんな大理石の種類やメリットデメリット、他の素材との比較等について詳しく解説します。
大理石は、建築材や装飾品として古くから利用されてきた高級素材の一つです。その美しい模様と高い耐久性が特徴で、住宅の床材や壁材、テーブルやカウンタートップなど、さまざまな用途で重宝されています。では、まず大理石がどのように生成され、どの地域で生産されているのかを見ていきましょう。
大理石は、石灰岩が地殻変動や高温・高圧環境にさらされることで再結晶化し、形成される岩石です。この過程でカルサイトやドロマイトといった鉱物が結晶化し、美しい模様が生まれます。生成される模様は、石灰岩に含まれる不純物の種類や量によって異なります。不純物が多いほど、黒や灰色、ピンク、緑などさまざまな色合いが生まれ、個性的な大理石が形成されます。また、結晶が密に詰まっているため、磨かれた大理石の表面は光沢を持ち、豪華さを引き立てます。
大理石は世界各地で産出されています。特に有名な産地は以下の通りです。
イタリアのカッラーラ地方で採れる「カッラーラ大理石」は、白い背景に美しい灰色の模様が特徴で、世界的に高い評価を受けています。古代ローマ時代から彫刻や建築材として使用されており、ミケランジェロの彫刻作品もこの石で作られています。
トルコは世界有数の大理石生産国で、白やベージュを基調とした種類が多く、価格と品質のバランスが取れた製品が多いのが特徴です。建築用材として世界中に輸出されています。
ギリシャでは「ペンテリック大理石」が有名です。この石は、アテネのパルテノン神殿にも使用されており、優れた耐久性と美しさを持っています。
インド産の「マクラーナ大理石」は、タージマハルの建設にも使用されたことで知られています。その純白な色調が特徴で、高級感があります。
これは代表的な産地の一例であり、他にも世界中には多くの大理石の産地が存在しています。それぞれの産地によって模様や色、特性に違いがあり、外観や用途に応じて採用されています。
大理石は大きく分けて自然から得られる素材である「天然大理石」と、人工で作られた素材である「人工大理石」「人造大理石」が存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。それぞれの詳細を以下で解説します。
天然大理石は、石灰岩が地質学的な変成作用によって再結晶化した石材です。形成される過程で、地中の鉱物や不純物が影響を及ぼし、美しい模様や色合いが生まれます。白、黒、ピンク、緑など、模様や色のバリエーションが豊富で、世界各地でさまざまな種類の天然大理石が採掘されています。
また、一つひとつの模様が異なるため、自然が作り出した唯一無二の美しさを楽しむことができます。その質感や模様は、高級感や重厚感を求める建築や装飾品に最適です。古代ローマやギリシャの建築で使用されてきたことからもわかるように、歴史的にも価値のある素材です。主に高級な住宅の床材や壁材、さらにはインテリアや彫刻などの用途で使用されています。
人工大理石は、天然鉱物をもとに精製された無機フィラーを主成分として、これにアクリルやポリエステルなどの樹脂を混ぜて形成された素材です。見た目は天然大理石に似ていますが、人工的に作られるため、色や模様を均一に仕上げることができます。また、形状を自由に加工できるため、用途に応じた製品を製造することができます。天然の大理石と比較した時、見た目の美しさと機能性の両立が可能な点が特徴で、天然石にはない明るい色調やユニークなデザインも実現でき、インテリアや建築のデザインの幅を広げる素材として人気があります。また、製造時に機能性を高める加工が施されている場合も多く、実用性の面でも注目されています。
人造大理石は人工大理石と似た素材ですが、セメントや石膏で天然の大理石粉末を固めた素材であり天然石に近い質感と重厚感が特徴です。人工大理石よりも材質がやや硬質なため、キッチンのカウンタートップや床材などの板状の製品として多く使用されています。人工大理石と混同されている場合が多いですが、それぞれ特徴の異なる素材ですので、これらの違いについて詳しく知りたい方はこちら「人工大理石と人造大理石の違いとは?詳しく解説!」を参考としてください。
大理石は高級感のある美しい素材ですが、用途や特徴に応じて他の石材が選ばれることもあります。その中でも特によく比較されるのが「御影石」と「クォーツストーン」です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
御影石は、花崗岩の一種であり、硬度と耐久性に優れた素材です。建築材や装飾材として広く使用され、その主成分には石英や長石、雲母が含まれています。表面は粒状の模様が特徴で、黒やグレー、赤みを帯びたものなど、多彩な色合いがあります。光沢仕上げを施すと高級感が増し、フロアやカウンター材として人気があります。
その特性から、屋内外を問わず幅広い用途で使用されています。特に建築物の外壁やキッチンカウンター、墓石、庭園の装飾材として重宝されており、高い硬度によって傷や衝撃に強く、風化や劣化にも耐える素材です。
クォーツストーンは、天然の石英を主成分とし、樹脂で結合して製造された人工石材です。天然石のような美しい外観を持ちながら、人工素材ならではの均一性と高い機能性が特徴です。色や模様のバリエーションが豊富で、天然石では実現が難しいモダンなデザインを取り入れることができます。
主にキッチンカウンターやバスルームの天板、洗面台などに使用され、水や熱に強い点が特徴です。また、汚れが付きにくく、メンテナンスが容易なため、日常的に使用される場所に適した素材です。抗菌性を持つ製品も多く、衛生的な空間を維持する目的にも適しています。
天然大理石の最大の魅力は、その模様の美しさです。地球が長い年月をかけて形成した模様は、人工的には再現できない独特の個性を持っています。一つとして同じ模様が存在しないため、使用する場所やデザインに合わせて特別な雰囲気を演出することができます。高級感を求める住宅や商業施設のインテリアに最適です。
天然大理石の表面は、磨き上げることで光沢が生まれ、上品な質感を持ちます。この光沢感は、光を反射して空間を明るく広く見せる効果もあります。ホテルのロビーや高級レストラン、住宅の玄関ホールなど、洗練された空間を作りたい場合に適しています。
天然大理石は微細な孔が多いため、液体を吸収しやすい特性があります。これにより、コーヒーやワイン、オイルなどがこぼれた際にシミが残りやすくなります。特にキッチンやバスルームなどの水回りで使用する場合は、表面に保護剤を塗るなどの対策が必要です。
硬度が高いものの、衝撃や強い力に弱いため、ヒビ割れや欠けが生じることがあります。例えば、重い物を落としたり、尖った物で擦ったりすると表面が傷つきやすい点には注意が必要です。また、エッジ部分が欠けやすいため、丁寧に扱うことが求められます。
天然大理石は、採掘から加工までの工程に多くの時間と労力がかかるため、他の素材と比較して高価です。プロジェクトの規模が大きい場合、コストが予算に与える影響が大きくなる可能性があります。そのため、高級感を重視する場面での選択肢として検討されます。
天然の大理石は上述のような美しい模様や高級感のある質感から、特別な雰囲気を演出したい建築やインテリアに適した素材です。しかし、耐久性がそこまで高くないことから取り扱いが難しく、どこでも柔軟に採用できる素材ではありません。一方で人工大理石は、耐久性やメンテナンス性等の点で天然大理石よりも優れており、キッチンカウンターや洗面など住宅での採用に適しています。人工大理石や人造大理石について詳しく知りたい方はこちら「人工大理石と人造大理石の違いとは?詳しく解説!」を参考としてください。
大理石は、自然な素材である天然大理石、人工で作られる素材である人工大理石や人造大理石などの種類に分けられます。混同されやすいですが、それぞれの特徴は異なっています。天然大理石は自然素材そのままの魅力があるものの、耐久性などの面では取り扱いが難しく、目的や用途によって人工大理石や人造大理石と使い分ける必要があります。本記事を参考とし、ライフスタイルにより適した素材を採用してみてください。
また、人工大理石のコーリアン®はアクリル系の人工大理石であり、デザイン性や加工性、耐久性が高く、キッチンカウンターや洗面台での使用に最適です。コーリアン®について、より詳しい内容を知りたい方はコーリアン®とはを参考にしてください。