
デュポン・MCC株式会社
2025.03.21
キッチンの高さは、作業のしやすさに影響する重要な要素です。また、高さが合わないと、身体への負担が大きくなり、けがや事故の原因にもなります。しかし、一概に「標準的な高さ」に合わせれば良いというわけではなく、身長や作業内容、使い方に合わせて最適な高さを見つけることが大切です。この記事では、キッチンの高さがなぜ重要なのかを解説し、身長や肘の高さを元にした具体的な計算方法、そして高さを決める際に考慮すべきポイントについて詳しく説明します。これからキッチンをリフォームする方や新築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
キッチンの高さ次第で、料理のしやすさや、身体への負担のかかり方が変わってくるため、キッチンの高さをしっかりと検討することはとても重要です。ここではキッチンの高さがもたらす具体的な影響について、詳しく解説します。
キッチンの高さが合っていないと、包丁を使う際に余計な力が入ってしまい、料理がしづらくなります。特に低すぎる場合は、前かがみの姿勢になりやすく、腕や肩に負担がかかります。反対に高すぎる場合は、腕を上げる形になるため、手首に無理な力がかかってしまいます。包丁を安全かつ効率よく使うためには、「肘を軽く曲げた状態でまな板に手を置ける高さ」が理想とされています。
不適切なキッチンの高さは、腰痛や肩こりの原因にもなります。前かがみの姿勢で作業を続けると、腰に過度な負担がかかり、長時間の料理後に痛みを感じることがあります。また肩が上がった状態での作業は、肩や首の筋肉が緊張し、肩こりの原因となります。特に家族全員が同じキッチンを使う場合、身長差に注意が必要です。家族の中で最もよく料理をする人に合わせた高さにするか、作業台の高さを調整できるアイテム(踏み台、まな板台など)を活用することで、身体への負担を軽減できます。
キッチンの高さが適切でないと、シンクでの水はねが増え、服が濡れたり汚れたりする原因になります。低すぎるシンクでは水を使う際に水滴が前方に飛びやすくなり、服やエプロンが濡れることが多くなります。一方で高すぎるシンクでは、水が勢いよくシンク内で跳ね返り、周囲の壁や床まで濡れることがあります。適切なシンクの高さは、「立った状態で手を自然に下ろした時に、指先がシンクの底に届くくらい」が理想とされています。これは腰をかがめる必要のない高さであり、無理のない姿勢で作業ができます。
前述のとおり、キッチンの高さは料理のしやすさや身体への負担を軽減するために非常に重要な要素です。ではキッチンの高さはどのように決めていけば良いのでしょうか。ここではキッチンの高さを決めるための具体的な計算方法を紹介します。
日本のキッチンの標準的な高さは80cm〜90cmほどと言われています。この範囲は身長160cm前後の人にとって使いやすい高さです。メーカーによっては80cm、85cm、90cmと5cm刻みで選べる場合も多く、キッチンの設置場所や使用する人の身長に合わせて選ぶことができます。
ただし、身長のほかにも使用する頻度、作業内容によって最適な高さは異なります。標準的な高さを基準にしつつ、自分の体型に合った高さを選ぶことがポイントです。
キッチンの高さをより正確に算出するためには、身長を元に計算する方法が最も有効です。一般的な計算式として、以下の方法が推奨されています。
【計算式】
身長(cm) ÷ 2 + 5cm
例:身長が160cmの場合 → 160cm ÷ 2 + 5cm = 85cm
身長を基準にすることで、より自分に合った高さを見つけることができます。また家族の中で一番キッチンを使う人の身長に合わせて計算するのも一つの方法です。
また身長の他に、肘の高さもキッチンの高さを検討する上で重要な要素です。これは料理中に肘を軽く曲げた状態が理想的な作業姿勢であるためです。一般的な計算式として、以下の方法が推奨されています。
【計算式】
肘の高さ − 10cm
例:肘の高さが90cmの場合 → 90cm − 10cm = 80cm
肘の高さは実際に立った状態で、床から肘までの高さをメジャーで測ります。まっすぐ立ってリラックスした状態で、肘を軽く曲げて計測してみましょう。
キッチンの高さを決める際には、作業のしやすさや身体への負担を考慮することが大切です。適切な高さにすることで、料理がしやすくなり、腰痛や肩こりの予防にもつながります。しかし、単純に身長に合わせるだけではなく、シンクやコンロの配置、収納の使い勝手、日常的な習慣まで考慮する必要があります。ここではキッチンの高さを決める際に気をつけたいポイントを詳しく解説します。
キッチンの高さを決める際には、シンクとコンロの高さにも注意が必要です。なぜならシンクとコンロでは行う作業が異なり、それぞれに最適な高さがあるからです。シンクでの作業は、洗い物が中心となります。前かがみになると腰に負担がかかりやすいため、シンクはやや高めに設定するのが理想です。肘の高さより5cmほど低い位置にシンクの底が来ると、自然な姿勢で作業ができ、水はねも防ぎやすくなります。
一方、コンロでは鍋やフライパンを持ち上げたりかき混ぜたりする作業が多く、腕を上げすぎると肩や手首に負担がかかります。そのためコンロはシンクよりも低めに設定することが推奨されます。肘の高さから15cmほど低い位置が目安で、この高さならば鍋を持ち上げる際に余計な力を入れずに済みます。シンクとコンロの高さを調整することで、身体に負担をかけずにスムーズに料理ができるようになります。
キッチンの高さを決める際に見落としがちなのが、スリッパの厚みです。普段からスリッパや室内履きを使用している場合、底の厚みによって身長が数センチ変わるため、それに応じてキッチンの高さの感じ方も変わってきます。
たとえば、厚みが2〜3cmのスリッパを履くと、それだけでキッチンが低く感じられることがあります。特に厚底のルームシューズを愛用している場合は、5cm以上の差が生まれることもあるため注意が必要です。
キッチンの高さを決める前に、普段使っているスリッパを履いて実際に立ってみることをおすすめします。ショールームなどで確認する際も、いつも使っているスリッパを持参して試してみることで、よりリアルな使い心地を確かめることができます。
キッチンの高さを決めるときには、収納棚の配置にも注意を払いましょう。特に吊り戸棚の高さは、使い勝手に大きく影響します。高すぎると手が届かず、踏み台が必要になったり、物の出し入れが不便になります。反対に低すぎると作業スペースが狭くなり、調理中に頭をぶつける恐れがあります。
収納棚の高さは身長を基準に決めるのが一般的です。目安として吊り戸棚の底辺の高さは、身長から50cm引いた位置が理想とされています。例えば身長160cmの場合、110cmの高さに設置すると、無理なく手が届き、視認性も良くなります。
またよく使う調味料や食器は、手を伸ばせばすぐに取れる位置に配置し、使用頻度が低いものは上の棚に収納するなど、収納場所を工夫することで作業効率が格段に向上します。
キッチンの高さを決める際に迷った場合は、低めにするよりも高めに設定しておく方が無難です。キッチンが低すぎると、前かがみの姿勢になり、腰や肩に大きな負担がかかります。反対に高めにしておけば、まな板や調理台の高さに合わせた踏み台を使用することで、後から調整が可能です。
また子どもが成長して使うようになる場合や、家族構成の変化を考慮すると、高めの方が長く快適に使えます。特にキッチンのリフォームや新築の場合は、将来的な使用を見据えて、少し余裕を持った高さに設定しておくと良いでしょう。
キッチンの高さは、数センチの違いで使い勝手が大きく変わります。そのためカタログの数字だけで決めるのではなく、ショールームで実物を確認することが非常に重要です。
実際にキッチンの前に立ち、包丁を使う動作や鍋をかき混ぜる動作をシミュレーションしてみると、どの高さが最も自然な姿勢で作業できるかがわかります。またスリッパを履いて確認することで、より現実に近い感覚を得られます。
ショールームではスタッフに相談することで、身長や体型に合わせた高さのアドバイスを受けることもできます。また複数のメーカーのキッチンを比較することで、自分に合った高さの基準が明確になります。特に初めてキッチンを選ぶ場合や、高さに不安がある場合は、時間をかけて実物を確認することをおすすめします。
キッチンの高さは、料理のしやすさや身体への負担のかかり方に大きく影響する重要な要素です。身長や作業内容、使い方によって、適するキッチンの高さは変わってきます。後から高さを変更することも難しいため、これからキッチンをリフォームする方や新築を検討している方は、本記事の内容を参考にしながら、後悔のないように検討しましょう。
またキッチンは高さの他に、素材選びも重要な要素となります。人工大理石のコーリアン®は豊富なカラーバリエーションを持つ他、デザイン性や加工性、耐久性が高いため、キッチンの天板に適した素材です。これからキッチンをリフォームする方や新築を検討している方はコーリアン®とはを参考にしてください。