浮遊感のある“グラマラス”な
眼鏡セレクトショップ
decora KOBE

2023.9.14

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decora KOBE

PHOTO:YOSHIHITO IMAEDA

間接照明に彩られたラグジュアリーな店内。コーリアン®の什器にライトフレームの姿見鏡を組み合わせた浮遊感のある演出が印象的。

階段状のディスプレイ什器が迎える店内

 大正から昭和期にかけてのレトロなビルが立ち並び、高級ブランド店が集結する神戸の旧居留地。「decora KOBE」は1999年、異国情緒あふれるこの街にオープンした眼鏡のセレクトショップだ。「専門スタッフがカウンセリングを行い、お客様のライフスタイルやファッションにマッチした眼鏡をコーディネートするという、欧米の名店ではスタンダードになっている販売スタイルを採り入れています」とオーナー、株式会社グラッシーズ 代表取締役社長の竹中太一氏は語る。

decora KOBE

左官仕上げの塗り壁が重厚さと理知的なイメージを醸し出すファサード。

 2022年11月、decora KOBEは3度目となるリニューアルを行い、外観からイメージを一新。外壁は世界的な左官職人である久住有生氏が手掛け、庇の下から拡散する間接照明の光で彩られて重厚な美しさを放っている。
 店内はグレーとシルバーを基調としたシックでラグジュアリーな空間で、エントランスを入るとまず目にするのは陳列棚を階段状にデザインした楕円形のディスプレイ什器だ。多彩な眼鏡フレームを眺めながら奥に進むと、ピラミッド型のディスプレイ什器と壁付けの什器が設置されている。いずれも昼白色のライトフレームで縁取りされた姿見鏡とコーディネートされ、アルミ素材がきらめく天井の演出と相まって浮遊感のあるグラマラスな空間美を創り出している。これら3つのディスプレイ什器にコーリアン®の「ヘーゼルナッツⅡ」が採用されている。

decora KOBE

階段状にデザインされた楕円形のディスプレイ什器。「ヘーゼルナッツⅡ」の独特な流れ模様が鏡フレームを引き立てている。

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エッジが美しいピラミッド型のディスプレイ什器。

眼鏡を引き立てる絶妙な色柄

 店舗デザインを担当したのは株式会社インフィクス 代表取締役社長の間宮吉彦氏で、decora KOBEオープン時から既存の価値観にとらわれない発想で店舗づくりを手掛けてきた気鋭の空間デザイナーだ。コーリアン®を選んだ理由は次のようにお話くださった。
「一体成型のような仕上がりにできる優れた加工性はもちろんのこと、人工の素材でありながら、自然の素材のようにも感じる独特な質感に惹かれました。たとえば石や木にしてもガラスにしても、その素材感がイメージを決定します。コーリアン®はそこが曖昧なので、使い方によって従来にない面白さが出せると思ったのです。今回のリニューアルではラグジュアリー感を出したかったので、あえて柄のある“ヘーゼルナッツⅡ”を選びました。少し色味があって流れ模様もはっきりと出ているのに、意外にも眼鏡フレームの存在を全く邪魔しない絶妙な色柄ですね。面を大きくすると柄も大きく見えてしまいますが、棚板を階段状にデザインすることで眼鏡フレームのディスプレイのバランスをうまく取ることができました」。
 階段状の什器の製作にあたっては、紙の模型を何度も作り直してデザインを入念に検討したとのこと。間宮氏が特にこだわったのは、什器の外側に施した20cm幅の縁取りだ。この縁取りを加えたことで安定感が生まれ、水平ラインが美しく見えるという。

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コーリアン®は温もりのある質感で手触りもしっとりしているので、お客様は心地よく眼鏡を手に取ることができる。

 オーナーの竹中氏は、コーリアン®の魅力をこう語る。「天然石のように冷たすぎず、しっとりとした手触りで、温かみすら感じます。眼鏡を手に取るときにお客様も什器に直に触れられますから、コーリアン®のこうした質感が心地いい印象を与えてくれる点も気に入っています」。
 リニューアルの評判は上々で、来客数も格段に伸びているとのこと。ホスピタリティを大切にするセレクトショップとして、ときめきのある上質な店舗デザインで、従来の眼鏡店では飽き足らないコアな客層の心をしっかりと射止めているようだ。

【decora KOBE】
https://decora-co.jp/shop.html
●所在地/兵庫県神戸市中央区三宮町2−4−4三宮神社隣
●デザイン/株式会社インフィクス
●下地製作・施工/株式会社キクスイ
コーリアン®加工/株式会社コスモ建材工業
●使用色/ヘーゼルナッツⅡ