PHOTO:YOSHIHITO IMAEDA
永田商店の伝統モデルに、コーリアン®の天板を組み合わせたダイニングテーブル。白い天板とくりもの脚のコントラストが際立ち、明るく軽やかな表情が新鮮な印象をもたらしている。
デュポン・MCC株式会社
2026.6.12
PHOTO:YOSHIHITO IMAEDA
永田商店の伝統モデルに、コーリアン®の天板を組み合わせたダイニングテーブル。白い天板とくりもの脚のコントラストが際立ち、明るく軽やかな表情が新鮮な印象をもたらしている。
白く端正な天板と、味わいのあるくりもの脚。その組み合わせが生み出すのは、クラシックでありながら、どこか新鮮な存在感だ。このダイニングテーブルを手掛けたのは、永田良介商店。1872年、神戸の外国人居留地に創業し、西欧トラディショナルデザインを日本の高度な木工技術で昇華させてきた老舗家具メーカーである。
テーブルづくりのきっかけは、ホテルオークラのフレンチレストランで長年使われてきた椅子との出会いだった。
「古い椅子を引き取って当店で再生したとき、この椅子に似合うダイニングテーブルをつくりたいと考えたのです。従来は木製天板が基本でしたが、今回は少し違う表情を模索したいという思いがあり、人工大理石に着目しました」
精緻な段差形状やシャープなエッジは、サンプル検証を重ねてミリ単位で調整されたもの。コーリアン®の優れた加工性を生かして、伝統的なダイニングテーブルのデザインを崩すことなく再現している。
ホテルオークラのフレンチレストランで長く使われていた古い椅子を再生。張り地を替えることで、それぞれに異なる表情が与えられている。この椅子にふさわしいダイニングテーブルが完成した。
そう語るのは、六代目店主の永田泰資氏と共に店を担う永田智美氏である。
ベースとなったのは、同店のクラシック家具の代表作で、昭和31年に製作されたテーブルモデル。丸い挽物装飾が連なる脚部が特徴的なデザインだ。美しい木目を持つナラ材に、「墨ぼかし」と呼ばれる濃淡を付けた塗装を施し、アンティークのような奥行きのある表情を生み出している。同店のクラシック家具に独特の深みを与える仕上げである。この伝統的な脚部に合わせる天板として選ばれたのがコーリアン®だ。
「コーリアン®は、自然素材のようでもあり、無機質でもあります。素材感がひとつに限定されないところに魅力を感じましたし、クラシックな木脚に、あえて異なる素材を合わせるのも面白いと思いました」と語る。
選ばれた色柄は「カラカッタグレージュ」。柔和な白色の背景に繊細な流れ模様が浮かび上がり、空間に潤いと調和をもたらす。当初、無地に近い素材を検討していたという永田氏だが、「カラカッタグレージュ」のサンプルを見たことで印象が変わったという。
「断面にも模様が現れることがわかり、波打つ柄がむしろ魅力的だと感じました。木目を活かした当店の家具の雰囲気とも調和すると思ったのです」
淡い色調の中に繊細な流れ模様が広がる「カラカッタグレージュ」の天板。断面である側面にも表情が現れ、一体感と奥行きのある美しい仕上がりとなっている。
こうして完成した天板は木脚とのコントラストが美しく、空間に軽やかな印象をもたらしている。特筆すべきは、天板エッジの造形だ。クラシック家具の縁取りに施される繊細なモールディングをコーリアン®で忠実に再現している。
「段差が生み出すラインの美しさにこだわりたかったので、加工会社にサンプルを作っていただき、1ミリ単位で調整してもらいました。ほんのわずかな差で印象がまったく変わりますから」と永田氏は振り返る。
正方形の天板は一辺が900mm。2枚のコーリアン®を中央で接合している。厚さは12mm厚のコーリアン®を3枚積層して30mmに削り出し、木材の下地をはめ込むように組み合わせて構成。小口は45度の留め加工で巻き込み、見える部分はすべてコーリアン®で覆われている。
「当初は継ぎ目が目立つのではないかと少し心配していました。でも完成してみるとまったく気にならず、まるで一枚の石から切り出したように見えます。お客様に説明しても、どこでつながっているのかわからないとびっくりされます」と永田氏。食卓としての機能面で見ても、コーリアン®には利点があるという。水拭きが容易で、傷や汚れがついても手入れしやすいからだ。
伝統的な木工デザインに、新しい素材を組み合わせる。その試みは、クラシック家具の可能性を広げる結果となった。
「コーリアン®を採用したことで、長く受け継いできたデザインに新しい息吹を吹き込めました。色柄も豊富で様々な組み合わせが楽しめますから、今後は天板の選択肢の一つとして、お客様にご提案していきたいですね」と笑顔を見せる。
クラシック家具の骨格を守りながら、コーリアン®がもたらす軽やかさをまとったこの一台は、老舗の技と現代の素材が響き合った好例といえるだろう。
(文:菱沼 晶)
【永田良介商店 ダイニングテーブル】
●家具・椅子製作/永田良介商店
●コーリアン®︎加工/マーブル建材株式会社
●使用色/カラカッタグレージュ