人々が自然に集う
「街を照らすベーカリー」
TERRAS BAKERY/COFFEE

多彩なパンを引き立てる陳列カウンター

　2022年の秋、兵庫県尼崎市の阪神本線「出屋敷」駅前にあるビルの１階に、『TERRAS BAKERY/COFFEE』が誕生した。オーナーは、同ビルの上階でサービス付き高齢者向け高級賃貸住宅とデイサービス事業を展開する社会福祉法人あかね 副理事長 松本優賀氏だ。『TERRAS　BAKERY』のコンセプトは「街を照らすベーカリー」。そこには「おいしいパンやコーヒーを通じてあたたかな繋がりを生み、街のしあわせ時間を増やしたい」という松本氏の思いが込められている。
　通りに面した二面のワイドなガラス窓から光が明るく差し込む開放的な店内は、モルタル調のタイル床と木の温もりを感じるフローリングが調和し、大地を思わせる石模様の壁や艶めく照明と相まって、素朴な雰囲気の中にグレード感と気品が漂う。店舗デザインを手掛けたプランニングワーク株式会社の松井友樹氏はこう語る。「目指したのはお客様の気分が上がるようなパン屋さんです。出屋敷の街のランクを一段階上げるような存在にしたい、というオーナーの要望を受けて、高級・上品・モダンの3つをキーワードにデザインしました」。

なだらかなカーブを描くコーリアン®の陳列カウンター。

コーリアン®で叶えた独創的なデザイン

　店内に入ると、入口すぐのところから奥へと続くダイナミックな陳列カウンターに惹きつけられる。二段に重なる大きな円型カウンターが変形し、流れるような曲線ラインとなって延びる印象的なデザインだ。底部から放たれる照明の効果で、カウンターはまるで宙に浮いているかのよう。そこに職人の手で焼き上げられた多種多様なパンが、手作りのアート作品のように美しく並べられている。

カウンターにセンス良く飾られた天然木のアイテムやエアープランツが、コーリアン®の持つ素材感を引き立てている。

　「間口が狭くて奥行きのあるスペースを生かすため、あえて窓側ではなく、店内を縦に貫くように前から奥へとつながる形で陳列カウンターを配置しました。大きな円形カウンターと、そこに並べられた魅惑的なパンがアイポイントになってお客様の目を引きつけ、そこから切れ目なく続く陳列でさらに好奇心をそそり、自然にレジ方向へと誘引する動線になっています」と松井氏。全長9メートル以上もあるこのカウンターはコーリアン®「ニュートラルアグリゲート」で製作されている。
　「無機質なおしゃれ感を出したかったのでモルタルで仕上げることも考えたのですが、モルタルだと無骨になりすぎて『TERRAS BAKERY』のイメージに合いません。その点、コーリアン®なら品の良い高級感がありますし、ベーカリーに大切な清潔感も醸し出せます。なによりこれほど長さのあるアール形状のカウンターを、継ぎ目を目立たせず、なめらかに加工するとなると、それを実現できる素材はコーリアン®をおいて他にはありませんでした」と松井氏。流れ模様が特徴的な「ニュートラルアグリゲート」を採用することで、無機質でありながら上品な空間の演出に成功している。

こだわりのモダンなライトに照らされたレジカウンター。ブロンズ色の「TERRAS」のサインが小粋なアクセント

　カウンターは8分割で現場へ搬入し、シームレスジョイントで仕上げたという。「模様があるので多少は継ぎ目が出てしまうと思っていましたが、想像以上にきれいな仕上がりで、接着面も全く気になりません。こんなに大きなサイズにもかかわらず、自由に描いたデザイン通りに具現化できたことに満足しています」と松井氏は笑顔を見せる。
　こだわりのお惣菜パンを見比べて楽しそうに選ぶ人、イートインでコーヒーを飲みながら友人とのおしゃべりに花を咲かせる人、そして生き生きと働くスタッフの幸せそうな笑顔…。『TERRAS BAKERY』は、早くも街の人々の暮らしを「照らす」存在になっているようだ。

レジ裏の冷蔵庫をビルトインしたカウンターの天板には、ブラウン系のコーリアン®「ウェザードアグリゲート」を採用。「あえて色を変えることでエリアを切り分けて、メインの陳列カウンターを際立たせました」と松井氏。

ホテルライクでシックな内装のトイレ。手洗いカウンターにはコーリアン®「アッシュアグリゲート」が使われている。

【TERRAS BAKERY/COFFEE】
●設計／プランニングワーク株式会社
●コーリアン®加工／株式会社コスモ建材工業
●使用色／ニュートラルアグリゲート、ウェザードアグリゲート、
アッシュアグリゲート