きらめく夜景と溶け合い、人々を魅惑する
都心のテラスラウンジを彩る“月光”のテーブル ベンジャミンステーキハウス 東京ガーデンテラス紀尾井町店 内装新設工事

幻想的な光のデザイン

　日が暮れて空がすみれ色に染まる頃、都心の超高層ビル群を見渡すテラスラウンジを訪れると、ビューサイドに置かれたいくつものテーブルが月の光を宿したかのようなやわらかな輝きを放っていた。夜の帳が下りるにつれて、光のテーブルがくっきりと美しく浮かび上がり、きらめく夜景と調和して約100坪の広いテラスが幻想的な雰囲気に包まれていく。ここは2022年4月に開業した「ベンジャミンステーキハウス 東京ガーデンテラス紀尾井町店」。ニューヨーク・マンハッタン発のステーキ専門店だ。

　

　スタンドテーブルやバーカウンターの光る天板は、コーリアン®の透光性を生かしたもの。流れ模様が印象的なコーリアン®「ゴールデンオニックス」の天板を内側からLED照明で照らしている。東京最大級の商業テラス空間を優美に彩る“光のデザイン”だ。店内意匠を担当した、設計事務所ピコ・イノベートのデザイナー、板橋大介氏は次のように語る。
　「素晴らしいロケーションを生かして、お客様に海外のルーフトップバーのような雰囲気を感じてもらえる空間にしようと思いました。光の透過によって天板に奥行きのある豊かな表情が生まれ、“ゴールデンオニックス”の模様の陰影が美しく引き立ちます」。テラスラウンジのデザインで意識したのは、高級感を保ちつつも「きらびやか」であることだという板橋氏。

日暮れ前のテラスラウンジ。照明が灯ったカウンターテーブルの印象は日中のそれとはガラリと変わる。

　

　テーブル素材にコーリアン®が選ばれた理由は、定尺762×3658㎜の材をシームレスジョイントすることで、より大きな面を作り出せる加工性の高さにあった。「厚さが12㎜あるので強度の面でも安心でした。思った通り、継ぎ目も全く気になりません」と笑顔を見せる。
　コーリアン®は飲食店に適した特性を持つ素材であることも気に入っているという。「ワインなどをこぼしても染み込みにくく、一般的なお手入れできれいに使い続けられることからスタッフの方にも好評です。また、材質が石材やガラスよりも柔らかいので、グラスがぶつかっても欠けることが少ない点も飲食店にとってうれしいこと。テーブルに手を触れたり、肘をついたときも、石材と違ってどこか温かみのある触感なので、くつろぎ感が増すのではないでしょうか」（板橋氏）。

エントランスのレセプションカウンター。側板に入った乱切り調の目地により、店舗全体のデザインに質感を調和させた。天板もシームレスジョイントしたコーリアン®だ。側板と天板の取り合いに間接照明を仕込んだ。
・天板：ウィッチヘーゼルⅡ
・腰貼り：ホワイトオニックス

光り揺らめくラグジュアリーな壁

　コーリアン®はテラスだけでなく、屋内のインテリアにも効果的に使われ、統一感ある演出がなされている。たとえばエントランスに配したレセプションカウンターの腰壁はコーリアン®に乱切り調の目地を入れたもの。間接照明の光のもと、目地の黒いラインがアクセントとなってラグジュアリーなバーの雰囲気に美しく溶け込んでいる。
ダイニングホールの装飾壁も見逃せない。大きな壁一面にコーリアン®の「ゴールデンオニックス」を張ったもので、左右のパネルには裏面からNCルーターで鎖状の模様が描かれている。背面からの間接照明を受けて、彫刻風の独特なデザインが美しく浮き上がる仕掛けだ。

店内に2つあるダイニングホールのうち1室の内観。写真奥の壁面は、裏面をNCルーター加工したコーリアン®仕上げ。間接照明により背面の凹凸で描いた模様が浮かび上がる。

　レストランの発祥となった米ニューヨークの店舗は、木製の内装と暖炉を生かした伝統的なステーキハウスの意匠だという。
「コーリアン®という素材を使うことで、『ニューヨーク店のテイストを生かしつつ、新たなセンスを感じる洗練された店舗を創り出してほしい』というオーダーに応えることができました」と板橋氏は語る。
　スタンドテーブルで向かい合い、ワイングラスを傾けるカップルの幸せそうな姿、バーカウンターでくつろぐ人々の満ち足りた笑顔。コーリアン®の“月灯り”が創り出した非日常の空間が、テラスラウンジで美食を味わう夜を心ときめく特別な時間にしていた。

【ベンジャミンステーキハウス 東京ガーデンテラス紀尾井町店】
https://www.benjaminsteakhouse.jp/kioi/
●設計・監理／株式会社ピコ・イノベート
https://pico-innovate.com/
●コーリアン®加工／株式会社インテック
●使用色／ウィッチヘーゼルⅡ、ゴールデンオニックス、ホワイトオニックス
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